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呪いのしるしを、君の体に。
第3章 3
ことりがおそるおそる、もらった連絡先にメールを入れ
会いたいということを伝えると、すんなりとOKが出た。
あまりにもあっけなくて、逆にびっくりしてしまったのだが
約束当日になると、授業も耳に入らないほど、朝から緊張した。
『今度こそ、失礼がないようにしないと』
助けてもらった時は、気が動転して全くまともにお礼ができなかった。
名誉挽回と意気込んだのはいいのだけれど
まだ大学2年生のことりには洋服もメイクもどうしていいかわからず
悩み抜いた挙句、いつもと変わらない格好になった。
ことりは、その可憐な名前に似合わず
少し釣った目とスラリとした印象の目立つ女の子だった。
どちらかといえば気が強く
大学のゼミでも一歩飛び抜けた成績と歯に衣着せぬ物言いで男子さえも論破してしまう方だ。
そして、そんなことりには悩みがあった。
父親のリストラによって、突如収入源がなくなったのだ。
弟もいるため、ことりは大学をやめるか悩んだけれども
奨学金という選択でとどまった。
なぜなら、大卒の方が、まだこの日本では生きていけると思ったからだ。
『お金の怖さは私が1番よく知っている…。
だからこそ、しっかり返さなくちゃ』
ことりはその気持ち99%と、そして、ミーハーな気持ち1%で出かけた。