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呪いのしるしを、君の体に。
第3章 3

そのまま駅のトイレに駆け込み
人がいないことを確認すると、恐る恐る先ほど吸われたところを見る。


綺麗に赤く咲く呪いがそこにあった。


「最低…なんなのあいつ…」


口ではそう言いながらも、男の人に
しかも、あんなに綺麗な男の人に迫られたことなどなく
ことりの心臓はこのまま心筋梗塞で死んでしまうのではないかというくらい
ありえないくらい脈を打っていた。


「ばんそうこう…」


見えないようにしなくてはと、カバンの中からポーチを探して気づいた。


『…やられた…』


そこには、返したつもりになっていた、お釣りの封筒が入っていた。
家を出る前にごそごそと用意していたのは、これだったんだとことりは下唇を噛んだ。


『悔しい…』


そこには、見たこともないような流麗な文字で一言。


“アルバイトに来る時の電車賃です”


ことりは何が何だかわからないまま寮へと帰った時。
高槻に焦らされた体の火照りが鎮まるはずもなく
思い出すだけでそわそわとして寝付けなかった。


翌朝。


あの男の鼻っ柱をへし折ってアルバイトのお金をもらってやると
固く心を決めた。


「絶対に、あいつの妙な自信打ち砕いてやる。
きっちり、1ヶ月のバイト代100万円もらうわ」


そうして高槻に連絡し
夏休みにことりは文豪の別荘地で住み込みのハウスキーパーをすることになった。
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