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呪いのしるしを、君の体に。
第4章 4
『絶対、間違いじゃないはず…』
電車賃を、渡しそびれたお釣りの入った封筒から出した。
それで電車に乗ってきた。
だから、間違っていない。
それなのに、あっけらかんとしすぎている高槻に
面喰って、玄関で立ち止まってしまった。
「ん? 僕は、マスターキー持っているから、それは君のだよ?」
「いや、あの…そうじゃなくて…」
高槻は微笑むと、ことりを手招きした。
1階はゲスト用になっていて、テーブルとソファが置かれ
ゲスト用の寝室、洗面所、浴槽がある。
そこを抜けてこの間と同じ2階に上がると
家主用の、キッチンとダイニングとリビング、そして浴室と洗面所と寝室があった。
「君の部屋は、僕の部屋の隣。
ついて早々悪いんだけど、契約書にハンコ押してもらえるかな?」
「はい。ハンコはここにあります」
三十路とは思えない美しくて大きな手が
ことりの目の前に契約書を差し出した。
「はい、ここ。名前とハンコ。
あと、支払いは月末、手渡しで」
ことりは契約書の内容をよく読んだ。