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呪いのしるしを、君の体に。
第5章 5
そのファイルに書かれていたことは、さほど難しくなく
ことりはすぐに仕事を覚えてしまった。
後は、実践するのみで、部屋に荷物を片付けると
さっそく冷蔵庫の中身をチェックした。
「これは、後で買い出し行かないとかも…」
「スーパーの場所はわかる?」
「わっ!」
突如後ろから現れた高槻に
ことりは驚いて冷蔵庫に頭をぶつけた。
「そんな驚かなくても…。頭、大丈夫?」
「あ、はい…」
高槻は微笑むと、ことりの手を取った。
「心配しなくても、むやみやたらと襲ったりしない。
大事なハウスキーパーさんに逃げられちゃ困るから」
高槻はことりの手の甲に口づけする。
「ひゃっ…!」
また張り手を飛ばそうとしたが、今度はしっかりとつかまれた。
「ダメだよ。雇用主をそんなにぶっちゃ」
「何言ってるんですか、セクハラですよ、セクハラ!」
「セクハラの意味を知っているのか?
相手が、いやだと思わなければ、それはセクハラじゃないんだ」
「だから、いやだって言ってんの!」
そう?
そう笑いながら、今度はことりの指先を咥えた。
あまりのことにことりの気が動転していると
指先をぺろりとなめて放す。
「嫌だったら、拒否するよ、普通」
「うるさい…この変態」
雇用主を叩くなと言っておいて、それはない。
ことりはどう対処していいのか、完全に分からなくなってしまった。
そんな彼女の反応に満足したのか
高槻はにっこりとほほ笑み、自分の書斎へと入って行った。