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呪いのしるしを、君の体に。
第2章 2
そもそもの話の始まりは、つい1週間ほど前になる。
大学の友人と、電車で1時間ほどの所にある、有名な避暑地へと遊びに行った。
ショッピングに可愛いカフェに、たくさん楽しんでいたところ
たまたま休みで来ていたのであろう、見た目も遊んでいそうな男数人に囲まれるようにナンパされた。
「おねぇさんたち大学生?よかったら一緒にこの辺散歩しない?」
下心見え見えで、ついて行ったら面倒くさそうなので、そのまま無視をしていた。
それが、まさかの逆効果だった。
無視に憤った彼らは、追いかけるようについてきて、ことりたちは避難するように近くのカフェに逃げ込んだ。
それでも懲りずについてきた彼らを一蹴した人物がいた。
「やあ、2人ともお待たせして申し訳ありません」
そう言いながらあらわれたのは、すらりと背の高い2人組の男性だった。
ことりははっとしてその顔を見る。
2人のうち1人は、どこかで見たような顔だった。
『どこかで見たことある…誰だったっけ』
パニックになる頭が、急激に冴えわたってきた。
ナンパしてきた青年たちが、なんだよこいつと、けんかを吹っ掛けようとしている。
「あれ、今日の取材は2人だけって聞いていたんですけど、ずいぶん大人数ですね」
「高槻先生、ちょっと…!」
1人が、あわてて、声をかけてきた―――高槻と呼ばれた男を静止した。
それに構わず、高槻という青年と呼べるほどの男はニコリと笑う。
ことりは、思い出した。
テレビで一瞬、そして、本屋でよく見かけるこの顔。
「じゃあ、外に車あるから、向いましょうか」
高槻に手を伸ばされ、ことりは友人の手を取ると、素早く席を立つ。
待てよ、と追いかけてくる青年たちの耳に、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
「ああ、君たち用のお迎えが来たようですよ」
高槻はニコリと笑って、パトカーを指差した。
青年たちは一気に血の気が引いたらしく、何も言わずに逃げ去って行った。