この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘愛
第5章 この手の中に
腕の中に愛する女を抱え、孝明はゆっくりと呼吸を繰り返した。
自分の胸に頬をよせる遙香からは、
愛らしい息づかいが聞こえてくる。
「遙香さん・・すごくきれいだったよ・・」
顔を覗き込まれた遙香は、恥ずかしそうに目を伏せた。
「篠宮くんだって・・すごいのね・・私・・あなたに
夢中になりそう・・心も、体も・・・」
普段は聞くことのない甘い声に、
孝明の口元はだらしなくゆるんだ。
「あなたのこと・・離さないからね。
幸せにできるようにがんばるからね。
オレに・・ついてきてくれる?」
「・・はい・・」
遙香は笑顔を見せた。
はにかんだその眼からはもう涙は流れなかった。
孝明は、恋を掴むことができた。
同じ失敗を繰り返すことなく愛を手に入れた。
もう心の中から後悔の残骸を吐き出せる。
その仕上げは、遙香をあの場所へ連れていくこと・・
「ねぇ、来週・・いや、明日都合が悪くなきゃ明日でもいい。
遙香さんを連れていきたいところがあるんだ」