- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
よくある恋愛モノ
第11章 新たな日々へ
目の前には、少し不機嫌な顔の凪
「遅い」
その言葉に美和は少しむっとした
「出来るだけ早く来たよ。何、構ってもらえなくて拗ねてるの?」
「てめっ……ふざけんなっ」
凪はますます不機嫌になる
だが、帰れとは言わない
「……さっさと座れ」
美和が座ると、部屋は異様に静まり返った
「学校は……どうだった」
とりあえずと話題を振ってみたが、なんともぎこちない
「星来が……」
「あぁ!?」
“星来”は凪の前では禁止ワード
それは美和もよくわかっていたが−−−
「ちょっと黙って聞いてて」
ピシャリとそう言い放つと、さすがの凪も口を閉ざした
「星来が冬休み前に帰るんだって、フランスに」
しばしの沈黙−−−
「……だからなんだ」
「お見送りに行かない?」
「行くわけないだろ」
即答だった
「でも行ったらきっと喜ぶと思うし……」
「あいつがそう言ったのか?」
凪は布団に入り、美和に背を向けて聞く
「ううん…星来は来なくていいって言ったんだけど……」
「じゃあ行く必要ないだろ」