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よくある恋愛モノ
第3章 ナギサ
キーンコーンカーンコーン……
「下校時刻になりました。生徒の皆さんは窓を閉め……」
校舎で放送が入る中、玄関の外には怪しい人影が−−−
「もうそろそろ来るかしら……」
「えー、昨日はあと5分遅かったですよ」
「あ、来ました!」
玄関の柱に隠れ、興奮した様子の女子高生たち。
その視線の先には−−−
「やっぱり何度見てもカッコいいなぁ……」
「和泉くんが彼氏だったら……」
凪が目当てらしい。
凪はルックス最高な天才。モテナイはずがなかった。
しかも不良という肩書きは、夢見がちな女子にとってあるいは王子様以上にときめきを感じるものである。
まぁ、美和のような人間にはそんな考えは全く理解できないのだが。
「ちょっと、今のは聞き捨てならないですね」
和泉くんを彼氏に、という一年生の発言に、先輩たちが突っ掛かる。
「入学して半年たったからって、たるんでるんじゃないの?」
「あ…は、はい! すみません!」
急いで謝る後輩に、三年生が静かに告げた。
「もう一度認識させた方がいいみたいね……『和泉凪を守る会』の規約を」
「はいっ!」