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よくある恋愛モノ
第3章 ナギサ
「おはよー!」
「あ、おはよ、宿題やった?」
朝の通学路は中高生でいっぱいである。
“凪、今日もどうせ朝礼来ないよね……”
美和が校門に向かいながら今日は朝礼前に探すか、などと考えていたとき−−−
「おい、川本!」
探すまでもなく、向こうから出てきた。
「はい?」
「ちょっと来い」
凪はいつも以上に不機嫌な様子で美和を道の端に連れていく。
ドンッ
凪は脅すように美和を壁に追い込む。
凪から発せられる空気のせいでときめくような壁ドンとはとてもいえない。
いつもと違う雰囲気にさすがの美和も怯んでいた。
「……何?」
「お前、母親に色々告げ口しただろ」
……なんだそんなことか