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よくある恋愛モノ
第3章 ナギサ
「ふぅん……」
“美和さんが傍にいると、ね……”
星来は一瞬考え込んでから寅次郎に笑顔を向けた。
「で、寅ちゃんはかまってもらえなくて寂しいんだー」
「え、とっ、寅……」
いきなり美少女からちゃん付けで呼ばれ、“寅ちゃん”は赤面する。
「ちょっと耳貸して」
星来は寅次郎の耳元に口を寄せる。
「−−−……」
「え、美和さんに……」
「シーッ! 声がおっきいってば!」
星来は慌てたように周りを見渡し、再び声を潜める。
「だって寅ちゃんも凪くんが嫌な思いしてるの見るの、嫌じゃない?」
「い、いや……まぁ……」
「だーかーらっ、ちょっと痛い目みせるだけだよ!」
そういってお嬢様はイタズラっぽく笑った。