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よくある恋愛モノ
第1章 プロローグ
「朝礼始めるぞー」
「きりーつ、きをつけー、れーい」
「おはようございまーす」
とある中高一貫の公立校、高校1年2組の教室で出欠確認が始まる。
「はい、えーっと……そこ誰だ? あー、伊藤? でそこは?……和泉だな。今日はどこにいんだよ……川本知ってるか?」
美和はほぼ毎日あの問題児のためにこの質問をされていた。
“はぁ……”
美和は心の中でため息をついた。
「あー……多分屋上かと。気まぐれなんでわかりませんけど」
「じゃあ……」
「あ、先生!私呼びに行きましょ……」
「あー、いーいー。川本、今特に連絡することもないから呼びに行ってくれ」
一際身なりのいいお嬢様の“気の効いた”提案はすぐに先生に却下されてしまった。
「え……あ、はい……」
“連絡がない日はいつもこれだ……”
苛立った美和はお嬢様が鋭い視線を送っていることにも気づかず、気乗りのしない返事をして教室を後にした。