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よくある恋愛モノ
第1章 プロローグ
美和の予想通り、屋上のベンチでは男子生徒が1人寝転がっていた。
風紀委員として制服をきちんと着こなす美和とは対照的に、ワイシャツの上に灰色の薄いパーカー、さらにその上にブレザーを着て前を開けている凪。
不良らしくスケルのネックレス、右耳にはイヤーカフを付けている。
「さっさと朝礼来て。また私がとばっちり食らって迷惑なんですけど」
「は?」
幼なじみの美和はこの不良がガンを飛ばしても動じない。
「しらねーよ。なんでお前の都合に合わせなきゃいけねーわけ」
「朝礼とか授業にでるのは当たり前です。そんなんで単位落としても知らないからね」
「知らなくてけっこー」
凪はベンチから立ち上がり、美和を見下ろして冷たく言い放った。
美和は黙ったままその視線を受ける。
「ちっ……」
舌打ちして凪は屋上から出ていき、美和も続いて教室に戻っていった。