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よくある恋愛モノ
第5章 すれ違い
「ん……」
明るい日差しに美和は目を覚ます
結局昨日は誰も来なかった−−−
“どうしてっ………”
鍵が閉まっているから誰もいないと思われたのだろうか
美和はぼんやりとそんなことを考える
もう涙を流す気力もない
“私…このまま死ぬのかな……”
そんな考えまで頭をよぎる
ガチャ
遠くで鍵を開ける音が聞こえる
“もう…今さら……”
「美和!?」
「なっ……」
“凪……!?”
美和は驚いて少し現実に引き戻される
「何やってんだ、こんなとこで!」
凪が近づいてくる
“やめて…来ないで……触らないで!”
凪の手が美和に触れた
「あっつ……お前もう帰れよ。送ってやるから」
「いい……」
美和は立ち上がり、凪を押し退けて歩こうとする
どこにこんな気力があったのか
凪への憎しみが、美和を突き動かしているのだろうか
だが、体はもう限界を超えていた
フラッ…
パシッ
「こんなふらふらなくせに強がってんじゃねーよ」
倒れかけた体は不本意にも凪に支えられている