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よくある恋愛モノ
第5章 すれ違い
“誰だ……?”
知らない番号からの電話に、凪は一瞬躊躇う
カチャ
「ただいま、電話に出ることが出来ません。メッセージを……」
ピーッ
「あ、凪くん!? お母さんに電話番号を教えてもらいました。美和がまだ帰ってなくて……」
“!?”
「警察はまだほとんど動いてくれないし、何か心当たりがあったらすぐに連絡下さい!」
ガチャッ
プーッ…プーッ…プーッ……
“あの美和が……?”
さすがの凪も動揺が隠しきれなかった
だが、捜そうにも心当たりは全くない
凪は結局、何もすることができないまま一抹の不安とともに一夜を明かした−−−
朝−−−
凪が自分の部屋のドアを開けると、リビングの方から話し声がした
「警察に行った方がいいですよ……」
「でも女子高生なら家出くらいあるだろうって……」
どうやら美和の母親が来ているらしかった
“あいつ……まだ帰ってなかったのか……”
胸の不安が一気に広がる
だが、凪にとって自分が美和を心配しているなんて思いもつかないことだった
“イライラする……っ”
またわけのわからない苛立ちに襲われる
凪はそれを振り払うように足早に家をあとにした