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よくある恋愛モノ
第2章 嵐の始まり
「星来ってさ、お嬢様って感じだよねー!」
「フランスの学校にも行ってたことあるんでしょ? おっ金持ちー!」
クラスでは、転校生、もとい、お嬢様こと森継星来が何人ものお取り巻きに囲まれていた。
「ううん、パパが外交官で、小さい頃からいろんな国に行ってるだけ」
しおらしく答えるお嬢様だが、心の中ではかなり得意になっている。
「すごーい!」
すかさず褒めるお取り巻きたち。
「でもさ、夢のためにこんな学校にまで来たってのが一番すごいよねー!」
「私医学部に行きたくて……ここって理系強いでしょ?」
“なぁんてね……”
ガラッ
「でもわざわざ公立の学校に入ってまでなんですげーよな。そんだけお金持ちで頭良ければどこだって入れんのにさー」
“医学部なんて全然興味ないし”
星来が優秀なのは事実。その気になれば医学部だって行けるだろう。
“でも私の本当の目的は……”
星来はたった今入ってきた不良青年を目で追っていた。
「ちょっと聞いてんの?」
美和は凪に怒鳴る。
「うっせーな、もう黙れよ」
教室戻ってやっただろ、と俺様風な凪。
「あんたがいっつも授業とかでないからでしょ!」
美和がさらに続けようとしたとき、
キーンコーンカーンコーン……
一時間目のチャイムだ。
「おい、授業始めるから早く席着けー」
先生も入ってきてしまった。
「あー、やっとうるせーのが終わるわー」
「はぁ……」
授業の始まりに美和はため息をついて仕方なく席に戻った。