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よくある恋愛モノ
第7章 変化
その頃美和は、凪と店を探して歩いていた
「なんで私があんたとお昼食べなきゃいけないわけ」
「悪いかよ……あ、美和、ここは?」
「並んでるじゃん。というか……」
美和は最近気がついた疑問を口にする
「なんで苗字で呼んだり名前で呼んだりするの? めんどくさいんだけど」
「そ、それは……別に……」
凪の耳がみるみる赤みを帯びる
「あー、昔の名前で呼ぶクセが抜けないけど、みんなの前で呼ぶのは恥ずかしいんだー」
「ち、ちがっ……」
「ばかだねー」
美和は久々に凪の可愛らしい弱点を見つけて嬉しかった
“ばっ……誰がばかだよっ”
凪は怒りよりも恥ずかしさが勝り、一層耳を赤くした
「お、俺はこっちの方探すから、お前はあっち行け! 5分後に一旦戻って合流しろ!」
凪はそういうと、すぐに角を曲がる
「命令形ですか」
美和は笑いながら呟いた
“いつ以来だろう……”
こんなふうに、凪と笑って話したのは−−−
“いや、凪は笑ってないけど”
美和が物思いに耽りながら歩いていると、見覚えのある人を見つけて足を止める
「あ……」
向こうもこちらに気付いたらしく、立ち止まった