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よくある恋愛モノ
第7章 変化
こんな時に、自分を呼ぶ声がする
聞き覚えのある声だった
「寅…ちゃん……?」
星来が顔をあげると、寅がゆっくりと近づいて来る
「なんでここに……」
違うクラスであるはずの寅次郎の登場に星来は戸惑ったが、すぐにハッとした
「まさか、あなたが私の名前を書いたの!?」
「はい、そうっす……オレ、どうしても星来さんと話しておきたくて……こうでもしなきゃ……」
“……バカにもほどがあるっ”
「私が今クラスでどんな立場かわからないの! あんなことしたんだから……」
「分かってます……オレも共犯者っすから……」
星来の叫びを、寅は目を伏せて静かに遮る
「でも、だからこそ理由が知りたいんす!」
寅次郎は顔を上げ、星来をまっすぐ見つめた
星来はその視線に一瞬たじろぎ、すぐに目を逸らす
「また……みんな理由理由って……」
「オレ、星来さんは悪い人じゃないと思うんす! それを美和さんにも……」
寅は、星来を売ってしまった罪滅ぼしをしたいのだろうか
必死になって訴えかけるが、星来は背を向けて離れていく−−−
「星来さん!」
人の助けなんてごめんだ、と言うように−−−