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よくある恋愛モノ
第7章 変化
その天然さに、3人はいいものを見つけたとほくそ笑む
「あー、その家なら、そこの角曲がって突き当たり右だよ」
リーダーの男は適当に答えたが、星来はそれを間に受けたようだ
「ありがとうございます!」
そう言うと、男の示した方へ向かっていく
これこそ、彼らの思う壺−−−
そこは行き止まりで、家どころか道すらないのだ
“え……?”
星来が不思議に思いもう一度聞こうと振り向くと、先ほどの若者、いや、チンピラがすぐ後ろに立っていた
ここは彼らの縄張りで、この場所で女を脅してアジトに連れ込むのがやり方なのだ
「あ、あの……すみません……」
星来も何かを感じたらしく、すぐにその場を去ろうとする
「待ちなよ」
チャラそうな男が星来の腕を掴んだ
「教えてあげたんだからなんかしてよ」
先ほど道を教えた男も変わらぬ笑みで脅す
「え……な、何かって……」
「ほら、とりあえずこっち来い!」
3人の中で1番体格の大きい男が、星来を引き摺るようにして歩きだした
“何かっ…って……”
そのくらいは世間知らずのお嬢様でも分かる
「やめっ…て……っ」
無駄と分かっていながらも、どうして抵抗せずにいられようか
「そっちが聞いてきたんだろー!」
「いや! 誰か助けて!」
星来は必死で声を張り上げるが、周りに人がいないような場所で拉致ることにかけて相手はプロだ
男たちは抵抗する女を見て興奮する
もっと哭かせてやろうかと、男が腰を引き寄せた
「やっ……」
その時−−−
「ってぇ!」
学ラン姿の男が、星来を掴んでいた手を引き離しひねりあげた
「女相手に何やってんだよ、くだらねー」