- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
よくある恋愛モノ
第8章 伝わらない気持ち
「こんにちは」
陸が柔らかい笑顔でそう言うと、星来もペコリと頭を下げる
星来にとっては、初対面ではあるがよく知っている相手だった
なんといっても好きだった相手の家族なのだから−−−
「……おい」
凪は低い声で唸った
「なんでこいつもここにいるんだ」
「え?」
美和はたった今凪に気付いたというような態度を取る
「私は陽菜乃ちゃんと回る約束してたし」
「えっ?」
突然の振りに焦る陽菜乃
「どうせ凪は陸くんと回りたくないんでしょ。1人じゃ可哀想だから、せっかくだし星来も一緒にと思って」
「お前また勝手に……」
「ま、まぁまぁ!」
怒鳴りつけようとした凪を、陽菜乃は一旦止める
「久しぶりに美和ちゃんと遊べるから、私もゆっくりしたいし。あとで合流しよ?」
陽菜乃自身この状況がよく分かっていないのだが、とりあえずこの場を諫めようとした
「じゃあ後でね!」
これ以上凪が何かいう前にと、女子2人と陸は行ってしまう
3人の姿が人混みに紛れて見えなくなると、星来が口を開いた
「で、どうするの?」
「……どうしようもないだろうがっ」
凪は吐き捨てるように言う