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よくある恋愛モノ
第10章 そして、確信
それ以来、凪は学校に来なくなった
校内で有名だった彼の不登校は学校全体を騒がせる
「単位数はぎりぎり足りるようにしてたみたいだし、成績優秀だったから目をつぶっていたんだが……不登校となると話は別だ。川本、何か聞いてないのか」
「……すみません、会えないので」
美和はぶっきらぼうにそう言った
もうこれ以上凪に振り回されたくない
このまま一生会わなければ−−−
ドクン
“何……?”
なんでこんなに苦しくなるの?
会いたくなんてない
この気持ちも、確かめるのが怖い
“やっぱり忘れなきゃ”
美和はここ何日も心の中でずっとそう繰り返していた
「明日の宿題ってどこまでだっけー?」
「125ページの96番までだよ。だめじゃん、ちゃんとメモしとかなきゃ」
美和は友人に呆れたように返す
最近は星来とも顔を合わせたくなくて、出来るだけ他の人と関わるようにしていた
「だってやる気でないんだもーん。彼氏とかできないかなー……」
友人の発言に苦笑する美和
他の人といる間は、凪のことを忘れられる
そう思ったのだが−−−
“そう簡単にはいかないのかな……”
いつも心のどこかにあの幼なじみの存在があるような気がしていた
「そういえば美和は最近どーなの?」
「え? なにが?」
考え込んでいた美和は友人の話を全く聞いておらず、少し焦る
「和泉くんのことだよー」
「え、な、凪!?」
更に焦る