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よくある恋愛モノ
第2章 嵐の始まり
「はぁ……」
美和は準備室のドアの外でため息をついた。
“あいつのせいで何度ため息をついたか知れやしない”
実験室に戻ろうと、歩きだしたそのとき−−−
「あっ!」
ドンッ
ガシャン!
「ごめんなさい、美和さん! 私ボーッとしてて……」
「あ、大丈夫だよ、森継さん」
焦る星来に美和は優しく返すと、しゃがんでガラスの破片を拾いだした。
「そんな、素手で集めたら危ないよ!」
星来も慌ててしゃがみこむと、美和と一緒に破片を拾おうとする。
「いたっ……」
「あ、ご、ごめんなさい。保健室に……」
見ると、美和の手が少し切れて血が出ている。
星来が拾う拍子に当たってしまったらしい。
「大丈夫大丈夫、部活でも時々あるし、慣れてるから」
「そう? ごめんね、じゃあ……」
星来は心配そうにそう言うと、美和に背を向ける。
だが、その顔には心配するような表情は全くなく−−−
“クスッ……”
笑みが、浮かんでいた−−−。