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よくある恋愛モノ
第2章 嵐の始まり
放課後−−−
「凪さん、今度ゲーセン行きましょーよ!」
夕暮れの理科準備室で凪はグラドルの載った雑誌を読んでいる。
というより、寅の持ってきたその雑誌はあまり興味がないらしく、顔に乗せて日除けにしているだけだ。
「なんで俺がお前とゲーセン行かなきゃいけねーんだよ」
「いやー、凪さんてUFOキャッチャーとか上手そうじゃないっすかー」
持ってきた本人は主人がお気に召さなかったことなど気がつかない。
ガラッ
「部活もやってないくせになにダラダラ残ってんの?」
「!?」
準備室のドアのところに白衣を着た美和が立っている。
「なんでお前俺のいる場所にいちいち出て来んだよ」
美和はその言葉を無視して凪に近づき、雑誌を取り上げた。
「これ、校則違反物だと思うんですけど」
「俺の勝手だろ。いちいち説教すんな」
「こんなことばっかして恥ずかしくないの? 遊ぶんなら家帰ってやんなさいよ」
「学校残って何が悪いんだよ」
「放課後は部活と委員会のための場所なんです」
「あと、一部のバカな奴らの補習な」
言い合いの最中に凪がボソッと呟いた言葉に寅が割って入る。
「あ、あのー……オレ、世界史20点未満で20点だったんすけどー……」
凪は黙れと寅を睨んだが、時すでに遅し。
「へー、塚田くん世界史20点だったんだー。凪なんかと一緒にいるからじゃなーい?」
「うっせー、話そらすな。さっさと出てけ」
怒りMAXの凪に美和は冷静に返す。
「ま、こんな馬鹿に付き合ってる暇ないし、私は部活で道具取りに来ただけなんでさっさと消えますけど」
そう言うと、美和は棚からフラスコを取りドアに向かう。
「明日の朝礼またあんたのこと呼びに行くとか勘弁してよね」
そう言い残し、美和はドアを閉めて出て行った。