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白日夢の断片【超短篇集】
第5章  白雪姫 〜王子様side story〜
雪のように白い肌


艶のある漆黒の髪


林檎のようにほんのりと染まった頬


鮮血のように真っ赤な唇





美しい……





彼女こそが


僕が求めていた


最高の花嫁だ……










今までのコレクションなど


比べる価値もない






硝子の棺に入れられた


最高の芸術作品






ドワーフ達は断固として

譲らないと言い張ったが



強欲な彼等の前に

金、銀、宝石を積み上げれば

たちまち目の色を変えた





さぁ……


美しい花嫁を

連れて帰ろう……













硝子の棺を担いだ途端


彼女の唇から零れた林檎の欠片……





にっこりと微笑み

瞳を潤ませ

見つめかける彼女












物言わぬからこそ


何も出来ぬからこその





美しさ、なのに……









ならば……


もう一度


美しい死に顔を


僕に、見せて?










硝子の棺には


美しい裸体の白雪姫が横たわる











もうその瞳に


見つめられることはない……



その唇は


語ることはない……





時が止まった彼女は


美しいまま、その姿を留める






冷たい唇を


指先でゆっくりとなぞり


唇を重ねる





まだ膨らみ始めてすらいない


平坦な胸の蕾を愛でる





そして……


誰も


本人すら触れたことのない


穢れのない秘密の花園へ……











愛してるよ


僕の


白雪姫……









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