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第19章 　永遠……

追ってを逃れ


おぼろ谷を下り


ロスロリアンの森へ





もう、ここまでは来られまい……





ここは


人間やドワーフが踏み入れることを


怖れる


一度入れば二度と戻ってこられぬ森






古（いにしえ）から


ずっとそこにあったような


大木に囲まれ……


精霊たちが宿り……


生命の息吹を感じる


異世界……










突然


切り付けられる喉元





突き付けられた刃より



美しく気高いその姿に


目を見張る……



まるで人間と変わらぬようでいて


人間にはない美しさ……


尖った耳と


何もかも見透かしてしまうような瞳


永遠とも思えるような生命力を持つ


シルヴァン・エルフ……





惹かれてしまえば


種族など


関係ない……






お互い


磁石に引き寄せられるように


強く


惹かれ合い


恋に落ちた





私の心は


貴方のもの……



全てを


貴方に捧げます……





薔薇色の日々


何もかもが


愛おしい









時は流れ


私は気づく





時は……


私にだけ、


流れているのだと





貴方は


若く


逞しく


美しいまま……










あぁ……


お願い……





私を……





年を取り


衰えていく


醜くなっていく





私を、


見ないで……





耐えられない……


一緒にいることなど


もう


私には……






彼の優しく残酷な言葉を振り切り


おぼろ谷へ





さようなら


愛しい貴方……











両手を胸の前で握り締め


墜ちてゆく意識の中


祈り続けた










来世では


二度と


離れませんように……





貴方を


永遠に


愛せますように……





運命が


二人を


切り裂きませんように……