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白日夢の断片【超短篇集】
第20章  悲しい習慣
朝起きて


ベッドの左隅に包まって寝ている自分に


苦笑する……





もう


遠慮することもない


広々と


寝られるはずなのに……





コップに刺さったままの


ピンクの歯ブラシ


手を伸ばし


ゴミ箱へ投げ捨てようとして


躊躇う 





未練がましい自分に


嫌気がさす





コーヒーでも入れよう……


棚へと


無意識に両手を差し伸べて





そうだ……


一つしかいらないんだ


また


一人、苦笑する




狭いと思っていた


この空間が


今は


落ち着かない程


広く思えて





彼女の気配が


まだ


あちこちに漂っていて……





蜃気楼のように


浮かび上がるから





耐え切れず


家を出た





ふと気付く


左に寄って歩く自分を


隣には人一人分の空間






もう


彼女は


僕の隣を歩くことなどないのに……









ねぇ、


君も今……






悲しい習慣に





縛られていますか?






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