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rena's world story★a.n.r.r.y
第5章 2人で、一緒に
差し出された彼の右手に、そっと自分の右手を合わせた。
……伝わるその温もりで
心の奥で燻っていた全てが、晴れ渡っていくのが分かる。
「1週間早いけど、結婚おめでとう」
「………!」
「あんたが蓮の女で良かった」
「………っ」
私の顔は、もうぐちゃぐちゃになっていると思うけど
握手をする手からゆっくりと視線を上げて、彼を見つめ返した。
「ありがとう、姫宮さん。
……私、幸せです」
「………!」
「蓮とあなたに出逢えて
心の優しい2人に出逢えて……本当に、嬉しいです…」
「………」
「……っ ありがとう、ございます……」
……ありがとうを、もっともっと伝えたいのに
彼が手を離すまで、結局私はそれ以上言葉にすることが出来なかった。
「……それは、俺の台詞」
「………!」
「 “ 大事なことを、思い出させてくれてありがとう ” 」
「………っ」
「ありがとう、瑠璃さん」
……去年のバレンタイン、私が彼に告げた言葉を口にして
姫宮さんは極上の笑顔を見せてくれた。
「今までも、これからも
……蓮は俺の誇りだ」
「………っ」
「あいつのこと、よろしくな」