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rena's world story★a.n.r.r.y
第8章 集合
「最近はもう隠してねぇだろーが。
こいつのせいで、社内の風紀が乱れてるんだよね~~」
そう言ったユーリが、通りがかったスタッフを呼んで
グラスを2つ受け取って、ひとつを俺の手に渡してくる。
「風紀?」
「夏輝の真似をして、やけに周りがオシャレに目覚め始めちまったんだよ。
俺のアシスタントの舞ちゃんなんてメロメロでさ~」
「………!」
「やけに影響力があるから、朝倉常務なんて頭抱えてて。
お互い苦労しますねぇって、今や俺は常務の相談相手になっちゃってるもんね」
メロメロのくだりで陽菜の顔がサッと曇る中
もうひとつのグラスが、中央に座る男の前に置かれた。
「ったく、うちはアパレルじゃねぇっつの」
……夏輝が好む、蛍光色やビビット色も
ユーリに似合う、カジュアル系やサーフ系も
瀬名と俺に共通する、ベーシックやモノトーンのスタイルも
そいつは、系統なんて関係なく何でも着こなしてしまう。
「ヒメ、本職のお前からも言ってやってくれよ」
持ち前のセンスと趣味を生かして職に就いた、ユーリに話しかけられたMDが
グラスを手にすると、俺を見上げてふっと笑った。