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rena's world story★a.n.r.r.y
第8章 集合
……そう言って微笑むヒカルの声が、最後の方は掠れていて
ヒカルを見つめ返すヒメも……俺の隣りに座る瑠璃の瞳も
一瞬、同じように潤んで見えたような気がした。
「皆様楽しいご歓談中に失礼します。
そろそろお時間が迫って参りましたが、最後にとっておきのサプライズがございます」
……フロアに響き渡る司会者の声で、周りが一斉に前に注目する。
─── 俺は、この時点ではまだ知らなかった。
今日の日の為に、仲間達が準備をしてくれていたこと
その発起人であり、中心となったのがヒメであったこと
……そして……
「蓮」
心に込み上げる何かが、溢れそうになる俺を
振り返ったヒメが真っ直ぐ見つめた。
「15年前の、中学2年。
お前が転校してきたあの頃は、お互い想像すらしてなかったよな」
「………!」
「ガキだった俺達が、それぞれ描いていた未来。
……お前がどうかは知らねぇが、少なくとも俺はその延長線上にいる」
「………っ」
「……俺が夢見ていた “ 現在(いま) ” が、ここにある」
……あの頃と同じ茶髪を光らせて、ヒメが笑った。
「だから、皆の想いを伝えたい。
……導いてくれたお前に、届くように」