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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message
……騒がしかったフロア全体に、優しいピアノの旋律が響き渡る。
照明が少し暗くなり、淡いオレンジ色とホワイトの光がメインステージを照らすと
さっきまでとはまるで違う空気に、会場内は包まれた。
全員が静まりかえる中、革靴の足音を響かせて
みんなの視線を釘付けにさせるその男が、ゆっくりとステージに上がる。
「こうして離れて、改めて見てみると
……あいつ、マジでかっこいいんだな」
瑠璃の隣りで、苦笑いを浮かべたユーリが溜息を漏らす。
……イケメンで、チャラチャラしてて、適当な男。
俺とユーリだけでなく、ヒメの第一印象はみんながそう共通していた。
それでも、歳を重ねる毎に
引くほどのオーラを放ち、周りがザワつくまでの圧倒感を見せつける。
その辺の芸能人以上だろってくらい、ヒメはどこに居ても目立っていて
……その魅力が、決して外見だけではないことを
年々増えていく、ヒメを知る全ての仲間が知っていた。
“ お前、俺が転校してくるまで1番モテてたらしいね。残念だったな ”
「……俺も俺だな」
母親とヒメの家に行って、初めてヒメに発した自分の言葉を思い出して
思わず頬が緩んでしまう。