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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message
ヒカルに渡された宝石箱を、左手に抱えて
スタンドマイクの前に立ったヒメは、周りを見渡してふっと笑った。
「……はは、顔見知りの奴らばっかりだな」
スピーカーを通して、その美声が会場内に響く。
黄色い声を上げていた女性陣からも、息を呑む様子が伝わって
始まりの一言だけで、ガッツリと観衆を惹きつけてしまった。
「蓮の会社関係と、瑠璃さんのご友人・同期の皆様」
「………!」
「すみません、先に謝ります」
……え? 謝る?
滅多に聞けない敬語と、その冒頭の謝罪に驚きを隠せない。
俺だけじゃなく、呼ばれた彼らが互いに顔を見合わせる中
右手でマイクを握り直したヒメが、もう1歩前に出た。
「……俺は、新郎と同じ29歳で。
蓮という名前も漢字も一緒で」
「………!」
「中学・高校、なぜか大学まで同じという究極の腐れ縁なのです」
「………」
「だから、ここには共通する友人が多くて
……今からすることは、完全に内輪ネタになっちまうんだけど……
少しの間だけ、 “ 俺達 ” の自己満な余興に付き合ってください」