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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message
「 “ 最初に教えてもらったのは、息継ぎの仕方。
でも水が鼻に入って苦しくて、怖くて
絶対に無理だって、小学生の私は泣いてばかりでした ” 」
「………!」
「 “ スイミングスクールの蓮先生は、まったく泳げない子の担当。
今思い返せば、あんなにおいしいマンツーマンを体験できただけでも、私は幸せだったんですよね♡ ” 」
その言葉に、大学水泳部のグループから笑いと拍手が起きて
真ん中にいる新藤さんも、懐かしそうに目を細めて微笑んでいる。
「 “ 最後まで、諦めないこと ” 」
「………」
「 “ 悩んでも迷っても、ゴールを目指して1mでもいいから前に進むこと。
水泳だけじゃなくて、人生において大切なことを蓮先生は私に教えてくれました ” 」
……両腕にアームリングの浮き輪を付けた、いつも涙目だった陽菜が
大学水泳部のエースとなり、こんなにも明るく強く成長したから
兄弟の居ない俺にとっては妹みたいな存在で……また胸がいっぱいになってきた。