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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message
「 “ 南棟の3階、突き当たりの図書室から
水泳部の皆が泳ぐ姿を、いつもこっそり眺めていました ” 」
「………!」
「 “ 私は小さい頃から、カナヅチで
気持ち良さそうに泳ぐ姿は、憧れそのものでした ” 」
……その始まりで、周りの出席者達は
学生時代の友人か、陽菜と同じスクールの生徒あたりを想像したかもしれない。
俺も、最初は理解できていなくて
……だけど、ヒメの持つ俺が撮った写真は
2年前の冬に、たった1人にだけメールをした……バンクーバーの空だった。
「 “ 小学生のみんなの仲間に入れてもらって
ビート板を離して泳げたのはたった5m。
それでも、ふわりと宙を舞うようなあの感覚を今でも覚えています ” 」
「………!!」
「 “ 内気で引っ込み思案な17歳の私が、初めて自分で前に進めたような……
大袈裟だけど、暗かった世界が大きく開けたような気がしました ” 」
「………っ」
「 “ ……蓮くんが
光を照らし、その一歩を後押ししてくれました ” 」
“ 蓮くん、あたしね
自分もプールの中にいるみたいだった ”
“ 蓮くんの泳ぐ水しぶきとか、反射する光とか、自分の鼓動とか
すごくキレイで幻想的な……なんだか別世界にいるみたいだったの ”
……美和……!