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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message
……こいつらのせいと言ったヒメが、ガラスの蓋を開けて
美和のメッセージカードを1番上に重ねた。
「……嫁に、感謝しろよ。
普通じゃありえねぇ」
「………」
「俺の我儘を許してくれてありがとうと
もう一度、お前からもちゃんと伝えて」
拍手と音楽に掻き消されて、ヒメの声はソファに座る瑠璃には届いていない。
差し出された箱を受け取って、俺はその男を真っ直ぐ見つめた。
……そんな俺を見返して、ヒメが苦笑する。
「……なんだよ」
「………」
「こいつらと違って
俺は文章力がねぇから、大したこと書いてないぜ」
「………っ」
「箱の底に入れてあるけど。
……期待しても、無駄だ」
再び声を詰まらせたヒメが、ふっと俺から視線を逸らした。
……いつでも、どこでも
今までも、きっとこれからも
負けず嫌いな俺達は、喧嘩して憎まれ口を叩いてばかりで
素直な気持ちを言葉にすることが出来ないけど
……今夜だけは……
「……ヒメ」
頬に伝う涙を感じながら、俺は親友の名を呼んだ。