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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
.。.:* side 美和 *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*
─── 気温が下がって、BARの窓ガラスがうっすらと白く滲んでいる。
東京タワーの光が輝いていて、その夜景は本当に綺麗で
時を忘れるくらい、このままずっと見ていられるような気がした。
「美和」
ふいに後ろから呼ばれて、窓から手を離して振り返ると
携帯を手にしたアンナが笑顔で近付いてきた。
さっきまで着ていたパーティードレスから、私服に着替え終わっている。
「ごめんね、待たせて」
「……ううん、大丈夫?」
「子供がグズついてるみたいなんだ。
この時間になると、やっぱり旦那じゃダメなんだよね~」
そう言って笑うアンナの声が、フロア全体に響き渡った。
BAR全体に、スピーカーからジャズが流れているけど
表の扉にcloseと書かれている今夜、ここには私も含めて4人しかいない。
貸し切り状態のBARは、いつもの賑やかさは無くて
……それでも、落ち着いた照明とキャンドルの灯りによって
フロア内は温かい空気に包まれている。