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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
「ママに会いたくて、泣いてるんだね」
元気いっぱいのアンナの天使を思い出して、自然と笑みが零れる。
バーカウンターの上のデジタル時計が、もうすぐ夜の10時になろうとしていた。
「アンナ、荷物半分持つよ。
私も今夜は家に戻るから、一緒に帰ろう」
「え? なに?」
「私も帰る……って、あれ?
麗子さんと優香さんのワイン、まだ残ってるけど……
2人ともどこ行っちゃったのかな」
いつものロフト席ではなく、今夜はメインフロア。
ステージ前にある4人掛けのソファ席に、ずらりと並んだ空き瓶。
私は最初の一杯だけにしていたけど、2人は相当飲んでいた。
「あはは、終わってみるとすっごい数だね。
オーナーに怒られそう」
近付いてきたアンナも、散らかったテーブルの上を見て苦笑する。
「料理はケータリングだったけど、かなり食べたね~」
「……これ、片付けていった方がいいよね。
ヤスくんに申し訳ないし……」
「大丈夫よ。
お姉様達がそのままでいいって言って帰ったから♪」
「………!」
……え? 帰った?