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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
真っ青な顔で両手を伸ばすヤス君の横で
ヒールを脱いでソファ席に立ったヒカルちゃんが、ワインのフルボトルを掲げてラベルにキスをしていた。
「行こう、瑠璃」
「………!」
「あれだけの銘柄をラッパ飲みされて堪るか」
蓮くんが瑠璃さんの手を引いて、フロアへの小階段を掛け足で降りていく。
……並んだ後ろ姿の2人は、誰が見てもお似合いで
嬉しくて自然と笑みが零れる。
「……ヒメ、私達も行こうよ」
2人の背中を見つめるヒメ。
シャツの袖を少し引っ張ると、その手がぎゅっと私の手を握った。
「……忘れるなよ、美和」
「………!」
「飲みまくって泥酔しても……忘れるな」
真っ直ぐメインフロアを見つめたまま、ヒメが優しい声で続ける。
「俺がお前に伝えたことは、残さなくていいから
……今夜のあいつらの笑顔だけは、心に焼きつけておいて」
「………!!」
「かけがえのない、最高の仲間。
この先もずっと大切にしたい……俺の光だ」
「………っ」
「……本人達には、ぜってー言わねぇけどな」