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rena's world story★a.n.r.r.y
第11章 片想いの行方 ‐ eternally -
「……嬉しかったな、あの時」
シャワーヘッドを持って、その髪を濡らすと
目を閉じたままの美和がふっと笑みを浮かべた。
「嬉しい?」
「ありあわせで作ったオムレツ
ヒメが、美味しいって褒めてくれたから」
「………!」
「色んな所で、色んなものを食べてきたけど
こんなにうまいものを食ったのは初めてって……そう言ってくれたのよ」
「………」
「……涙が溢れるくらい、嬉しかった」
覚えてる?って聞かれたけど
思い出そうとする前に、頬を染めて笑う美和に目を奪われてしまった。
……この笑顔を見たくて
俺に向けて笑ってほしくて
……美和と出逢った、17歳の時からずっと……
「……ヒ、メ…
……!」
美和の体を温める為に、シャワーを止めないまま壁に掛けて
目を見開いたその両頬を、出来るだけ優しく包み込んだ。
「あの時も言ったけど
飯だけじゃなくて……お前はこれからは何ひとつとして
縛られたり強要される必要はねぇんだからな」
「………!」
「もう二度と闇の世界に戻ることはない。
……絶対に、行かせない」