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rena's world story★a.n.r.r.y
第13章 お土産
─── 高嶺の花。
クールで、美しくて、カリスマ的なオーラがあって
カッコイイ、ちょっと怖い……みたいな
手の届かないワンランク上の存在
私はそういう女性に憧れているし
図々しく、自分自身もそんなイメージだと思っていた。
……そう、思っていたんだけど
「落ち着け、私」
さっきからキッチンとリビングを1人で行ったり来たりして
何度も掛け時計をチラチラ見る私は、誰がどう見たってカリスマ性は無いし
イタリアから帰ってくるんだから、今夜は絶対に和食にしたくて
食材を買い込んで夢中で仕込みをしていた時点で、家庭的要素が満載なわけで
……要するに
“ 今空港出るから ”
……2時間前に届いたメール、たったの一行
彼の部屋で、彼の帰りを待つこの時間が
こんなにもドキドキして、ワクワクしてしまう。
早く逢いたくて、逢いたくて堪らなくて
「……ダメだ、重症」
そう溜息を漏らす私は、この先も高嶺の花にはなれそうもない。