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rena's world story★a.n.r.r.y
第13章 お土産
リビング中央のソファに腰掛けた葵。
……カバンだけだと思っていたその手に、紙袋が握られていて
単純な私の胸は、途端にキュンと締めつけられた。
嬉しい。
海外出張の多い彼を持つ、彼女の特権だ。
「実は、密かに期待してたの」
スキップしそうな衝動を隠しつつ、いそいそと近付いていって
ソファの上で胡坐をかく葵の隣りに、ちょこんと腰かけた。
……やばい、もう楽しい。
ワクワクする。
「BARBARESCO、2本買った」
クッション材に包まれたボトルを葵が持ち上げた。
750mlのフルボトル。
発音のいい声で読み上げられたその銘柄は、私も知っているイタリア赤ワインの女王だ。
梱包を剥がすと重厚な黒いラベルが見えて……胸が躍る。
「すぐにあけてもいい?
あ、でも今夜和食にしたから……合わないかしら」
「和食?」
「うん、作って待ってたの。
葵、お腹すいてる……よね?」
ドキドキしながらそう聞いてみると
葵は驚いたようにキッチンを見てから……口角を上げて小さく頷いた。
……なんか、可愛い。
こうしたほんのちょっとの反応が、どうしようもなく私の心をくすぐる。