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rena's world story★a.n.r.r.y
第2章 招待状と秋の風
暫くすると、腕の中で美和が小さな寝息を立て始めたので
少しだけ体を離して、俺はその寝顔を見つめた。
「……過去の女達が
今の俺を見たら、失笑するだろうな」
美和の頬を指で撫でて、思わずそう呟く。
美和と再会するまでの間
複数の女と適当に遊んで、常に主導権を握ってきた俺が
ガキみてぇな会話をして、童貞のように一喜一憂しているんだから笑えてくるわ。
……恋愛を、やり直しているような気がする。
素直になれなかったあの頃、叶わなかったひとつひとつを
美和と一緒に再発見出来ることが、実は嬉しかったりするなんて
今俺の周りにいる仲間達ですら、夢にも思わねぇだろう。
……ただ1人
俺と同じ名前のあいつを除いて……
“ 大丈夫、お前はそのままでいいんだ。
美和はヒメの気持ちに応えてくれるよ ”
「………」
勘が良くて、洞察力に優れていて
俺のことを誰よりも理解している蓮でも、読めないことはある。
……閉め切っていなかった窓から、冷たい秋風が吹き抜けてきて
俺は美和を強く抱きしめて、瞳を閉じた。