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rena's world story★a.n.r.r.y
第14章 理由:面白そうだから
……今、彼女が放った台詞は
おととい葵に言った私の台詞と全く同じなんですけど……
「……どーせそう言うと思ったよ」
通話が切れた携帯をポケットに入れて、姫宮さんが呟く。
苦笑いを浮かべたその横顔を、唖然として見つめると
「そんなわけだから。
VMDの修正が終わったらクルーズの情報、俺のメールに送っておいて」
「………!」
「あと5日もあるし、当日のプランは追って打ち合わせするってことで」
~~えっ!?
冗談じゃないの?
……本気!?
「ま、待ってください。まさか本当に……」
スタスタと入口に向かって歩いていく姫宮さんを、慌てて追いかける。
心臓がバクバク鳴って止まらない。
「き、貴重な土曜の夜を頂くわけにはいきませんって。
何よりも香月さんに悪いし…」
「聞いただろ? あいつら押しかけてくる気だから」
「……っ でも、こんな急に…」
「俺が行くって決めたんだからいいんだよ。
心配しなくても奢ってやるから」
「………!」
「優香なら1番高いフルコースにするだろうし
タダ飯食えてラッキーくらい思っとけ」
ドアノブに手を掛けて、振り向いた姫宮さんが笑った。
「お前の不安が無くなるなら、安いもんだろ」