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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
金だと思って出した手が空しく固まる。
スマートに微笑んだ蓮が置いたのは、1枚のハガキだった。
「……なんだこれ。ファミリーセール?」
「ヒメが昔から好きなブランド」
「………!」
「あの時あいつが着てたモッズコート、お前欲しいって言ってただろ」
ネクタイを緩めながら
俺のデスクの端に寄りかかって、蓮は楽しそうに続ける。
「チャラ男のくせに律儀だから、ちゃんと覚えてるんだよ」
「………」
「瀬名、4日前の飲み会に来れなかったから
渡しとけってさ」
……引く程酔ってたくせに、残念ながらそのくだりは俺も記憶に残ってる。
腹立つくらい上から下までセンスのいい、あいつといつの間にか打ち解けちまって
満足気なドヤ顔の蓮そっちのけで、女同士みてぇに語り合った。
……カジュアルなミリタリー以前に、服にすら興味のねぇ俺が
選んでやるよという買い物の誘いを、喜んで承諾したという……
“ 葵がショッピングを好きになってくれて嬉しいわ ”
「………」
……俺、踊らされてねぇ……?