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rena's world story★a.n.r.r.y
第16章 ミッション終了
「でも!!
ちゃんとカバンの奥底に入れたんですよ!
気付かれないように…」
「んな異物感ハンパねぇもん入ってたら誰だって気付くっつーの!」
「ど、どうしよう。
鈴木さんにアホな女だと思われてしまったことが、何よりも悲しい…」
「知るか!
だいたい俺達は今年厄年じゃねぇ……
……!」
思いっきり叫んだ姫宮さんが、途中でピタッと止まった。
「………」
……私も今更気付いた。
さっきまで柱の陰に隠れていた体が、勢い余って
半歩どころか数歩手前に飛び出していたこと
そして
そんな騒がしい私達を、10m程離れたゲートの中から
小柄な女の子と並んだ、1人の男がこちらを見ていることを……
「「………」」
固まる姫宮さんの視線も、私と同じ方向を向いている。
……ねぇ、姫宮さん。
あなたは髪型と髪色を変えて、私もウィッグをかぶって変身している。
お互い正装して、見た目は紳士と貴婦人に化けている。
……だけど忘れてた。
私と同じで、彼も昔から視力がかなり良い。
……それに葵は以前、私にこう言っていた。
“ 俺がお前を見逃すわけねぇだろ ”
「~~~~!!」
こちらをじっと見つめるあの渇いた視線は、まさに……
チ、チベットスナギツネ……!!