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rena's world story★a.n.r.r.y
第16章 ミッション終了
細身のダークスーツ
同系色で揃えたカラーシャツ
右腕に掛けた軽めのステンカラーコート
……間違いなく葵だ。
「………っ」
蛇に睨まれた蛙。
全身に稲妻が走ったような衝撃で、声を出すことも体を動かすことも出来ない。
……と、その時
「………!」
─── ふいに
夜風が吹きつけて、葵と私の間にあるかがり火が揺れた。
火の粉と共にゆらゆらと舞い上がる、その淡い陽炎の奥で……
「~~~~!!」
わ、
わ、
笑った……!!
「キャ、キャプテン……!!」
隣りに並んだ女の子に促されて、ふっと視線を逸らして船の中に入っていく葵。
その姿が見えなくなった途端に、声と体の金縛りが解けた。
「み、み、見ましたか今の……
葵が、葵が笑った……!!」
「クララが立った的な言い方やめろ」
「~~なんですか今の意味ありげな含み笑い!
しかもあの人、炎を操りましたよね!?」
「………」
「何が、何が起きたのか教えてください!」
パニックのあまり我を忘れて、姫宮さんの両腕を掴んでガシガシ揺らす私。
~~ていうか、突然の微笑みにちょっとトキめいちゃったりしてるんですけど!!