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第16章 ミッション終了

「……早坂」


ここでエリザベスって呼んでくれたなら、まだ救われるのに
胸ぐらを掴む私の手を外して、彼は溜息を漏らした。


「俺、自慢じゃねぇけど
仕事でもプライベートでも、自分が企画したことは大抵上手くいくんだわ」

「……え？」

「美和の時もヒカルの時も、ユーリの時も
失敗したことなんて一度も無い」

「………」


……失敗？


「突入前にバレるって初。
あ、潜入部隊から連絡来たぜ」

「………」

「俺達の方が先にホシを見つけました……と」


……つい５分前まで、神札のくだりで貴方も相当燃え上がっていませんでしたっけ？
まるで何事もなかったように、香月さんにメールの返信をしてますけど……


……いやいや、待て待て。

失敗
バレるって……


「……あの、姫宮さん」

「あ？」

「と、いうことはつまり……」


近くのスピーカーから流れる、出港を告げるアナウンス。
放心する私の前で、彼はチケットを取り出すと



「つまり、ミッション終了」

「………！！」

「仕方ねぇから
普通にナイトクルーズを楽しむしかねぇな」



ニッと白い歯を見せて、スタスタと乗船場に向かって歩き出した。



「～～～～っ」



しゅ、終了って……

ま、まだ何も始まってないんですけど……！！