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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
……自分でも違和感を感じるほどに
らしくなく、最後は少しだけ穏やかな声でそう告げたけど
“ 親孝行 ”
……何言ってんだ、俺。
生まれた時から死ぬまで使う事のねぇ言葉なのに……
「── 寂しいわね」
蘇る記憶に再び蓋をして、静かにその場から離れると
後ろから、今にも消えそうな声で令嬢が呟いた。
「寂しくて仕方ないでしょう。
私だったら耐えられない」
「………」
「与えられた孤独から、貴方は救われないのだから…」
「そうだな」
「………!」
「俺もそう思ってた。
……だけど」
開こうとした口を、一旦閉じた。
「……だけど?」
「………」
過去の感情は捨てたんだ。
見据えるのは、未来だけ。
「……あんたには話さない」
二度と振り返らない。
振り返る必要がない。
……俺には……
「あんたに話すのがもったいねぇくらい
今、俺にとって大事なもんがある」