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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
訳も分からず、直立不動で固まる取り巻き達。
そのうちの1人を誘導して、俺が座っていた席に着かせた。
「……何が “ 復讐 ” だよ。アホなんじゃねぇの」
自分の両腕を抱えて、令嬢はなにやらブツブツ呟いていたけど
俺がそう言って溜息を漏らすと、ゆっくりと頭を上げた。
「人の半生で勝手な妄想膨らませるって、マジでよっぽど暇なんだな」
「………!」
「何度も言ってっけど、忙しいんだよ俺は。
デスクに積まれた書類を片付けることだけで、頭いっぱい」
「………っ」
「報復するとか頂点目指すとか。
そんな意識高い系じゃないんです」
羽田の滑走路の手前。
ライトアップされた橋梁の光が、船の窓に反射する。
何も言い返さなくなった令嬢が、再び俺から視線を逸らした。
「……どーせ今夜のことは、あんたの勝手な判断で来たんだろ?」
「………!」
「パパにバレる前に、さっさとNYに戻った方が身の為だぜ。
俺も黙っててやるから」
きゅっと唇を結んで、俯く姿。
……これ以上追い詰めても意味ねぇな。
「親孝行してぇなら、もっと別の形でしてやれよ」
「………っ」
「まだ遅くない。
……お前の親は生きてるんだ」