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rena's world story★a.n.r.r.y
第19章 唇に媚薬 ‐ deep love -
─── 港区内、東新橋。
○○グループ最高級ブランドが手掛ける、ラグジュアリーホテル。
格式の高い和モダンで統一された客室は、スタンダードでもスイートルームに匹敵する空間で
1時間前まで居た東京湾の夜景が、部屋の大きな窓から一望できる。
「………」
葵が私のコートを持って、クローゼットの扉を開いた隙に
隣りに並んだバスルームの自動ドアを開けて、1人で中に滑り込んだ。
白・黒・シルバーで統一された豪華なバスルーム。
大きな丸形の鏡の前に立って、私は静かにウィッグを外した。
……いつの間に予約してたの、とか。
ていうかなんで予約できるの、とか。
一体いくらかかるのこの部屋、とか。
どんな質問も、スマートなあの人には愚問な気がするけど……
とにかく落ち着かない。
胸がドキドキして止まらない。
「アメニティの充実さが、半端ないんですけど……」
髪を止めていたピンを全て外して、いつもの見慣れた自分を確認してから
大理石の洗面台にズラッと並んだ数々に、視線を移すと
「………!!」
当然壁だと思ったその先に、見えるはずのないベッドと夜景が飛び込んできた。
独立式のバスタブの向こうが……ぜ、全面窓ガラス……!