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rena's world story★a.n.r.r.y
第19章 唇に媚薬 ‐ deep love -
天井の境にはブラインドが無くて
その代わり、ミラーの横に小さなスイッチがある。
これで曇りガラスに切り替える事が出来るのね、と
ホッとして手を伸ばした……
……その時
「………!」
……目の前の鏡に、バスルームのドアを開けた葵が映った。
「………っ」
片手で髪をクシャクシャと崩して、もうひとつの手でシャツのボタンを外しながら
固まって立ち尽くす私の元へ近付いてくる。
「なに逃げてんだよ」
「……に、逃げてなんか…」
「髪、外したんだ」
「……うん……」
真後ろに立った葵が、指で私の髪をひと束掬う。
バスルームは間接照明だけしか付けてないのに、夜景の明かりがここまで届いて
葵の整った横顔が照らされて……
なんていうか……男なのにすごく綺麗。
「……葵は、ロングの方が好き?」
「ロング?」
「髪、私ずっと短かったけど。
葵が長い方が好きなら、伸ばそうかな…
……!」
そう言いかけた途中で、葵が私の髪にキスをした。
腕を回されて、後ろから抱え込まれて……ドキッと心臓が跳ねる。
「ロングが好きとかショートがいいとか
俺の基準はそこじゃねぇから」
「………っ」
「……分かってんだろ、蘭」