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rena's world story★a.n.r.r.y
第20章 おまけのSS① *★* ジャックのSOS
.。.:* side hime *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*
波音を間近に感じる、船の側面に位置するシーサイドデッキ。
客は殆どメインフロアかダイニングの中にいるから
海面を見つめてぽつんと佇む美和の姿はすぐに見つけられた。
「優香は?」
瀬名を見送った時には居たはずだけど。
周りを見渡す俺の質問に、なぜか美和は答えない。
「おい、聞いてんのか」
「………」
「もしもーし」
なんだこいつ。
酔いすぎて寝てんのか?
船の手摺をぎゅっと掴んだまま無言の美和。
俺は溜息をついて、その右隣りに並んだ。
「………」
ビジューの光るバレッタでひとつにまとめた黒髪。
黄色のワンピースに合わせた、月の形をしたピアスが潮風で揺れる。
「……美和…」
「残念だわ」
思わず触れそうになった俺の手を遮るように、美和が低い声を出した。
「極秘任務って聞いたから、気合い入れてたのに」
「………!」
「出港前にバレちゃうなんて。
ヒメ、腕落ちたんじゃない?」
「………」